番外編・シニア徒然ブログ

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ペットと暮らせる特別養護老人ホーム「さくらの里山科」で暮ら
す保護犬出身のルイ(ミックス犬、雄)が昨年12月、虹の橋に
旅立ちました。“享年”17歳(推定)でした。
ルイは元々、高齢の飼い主さんに捨てられた子でした。飼い主さ
んが老人ホームに入る際に置いていかれてしまったのです。ケア
マネジャー(介護支援専門員)が、ルイをどうするか、その飼い
主さんに尋ねたところ、「山にでも捨ててくれ」という答えが返
ってきたそうです。
ルイはその時推定6~7歳。ですので、飼い主さんは、6年近く
ルイと一緒に暮らしていたと思われるのに、「山に捨ててくれ」
と言い放つなんて……。
ルイはとても人懐っこいので、かわいがられてはいたのだろうと
思います。でも、この飼い主さんは、都合の良い時はかわいがっ
ても、真の愛情は持ち合わせていなかったのでしょうかね。…
もちろん、老人ホームに愛犬を一緒に連れていくことは、ほぼ不
可能であることはよく知っています。多くの高齢者が、泣く泣く
愛犬を手放していることもよく知っています。しかし、愛情のか
けらもなく「山に捨ててくれ」と言い放つのは、ちょっと違いま
すよね。
ところで、この高齢の飼い主さんにはケアマネジャーがいたのに、
ルイの正確な年齢がなぜ分からないのか疑問に思われるかもしれ
ません。実は、高齢の飼い主さんが、愛犬や愛猫の年齢を正確に
把握していないのはよくあることなのです。
「さくらの里山科」に愛犬、愛猫と同伴入居した高齢者にも、ペ
ットの正確な年齢が分からない、年齢を間違っていた、というよ
うなことは多々あります。ですので、ルイの正確な年齢が分から
ないことは、ルイへの愛情の有無とは関係ありません。
そして、ルイにとって幸いだったのは、このケアマネジャーが、
「さくらの里山科」と同じ法人の在宅介護部門の職員だったこと
です。私に相談してくれたので、ルイにはさほど長い時間一人ぼ
っちで寂しい思いをさせずに、「さくらの里山科」で引き取るこ
とができました。
ただし、うちの法人では、大変申しわけありませんが、犬、猫を
引き取ることはしていません。ホームで暮らせる犬、猫の数には
限りがありますので、ご理解ください。
明るく元気なルイは、「さくらの里山科」にやってきた初日から、
ユニット(区画)の広いリビングや廊下を大喜びで走り回ってい
ました。とっても人懐っこい性格で、入居者の皆さんにすりすり
して抱っこをせがんでいました。
入居する皆さんも、そんなルイを、こぞってかわいがりました。
ルイも幸せ、入居者の皆さんも幸せ。職員も幸せ。まさに幸せな
共生が実現していました。
入居者に抱っこされた時のルイのとろけそうな顔。それ以上にと
ろけそうに笑み崩れている入居者の顔。リビングを走り回ってい
るルイのわんぱく小僧のような顔。そんなルイを見て大喜びして
いる入居者のはじけるような笑顔。窓際に置かれたベッドで寝て
いるルイの最高に気持ちよさそうな顔。「あら、かわいい顔して
寝ているわ」と話している入居者たちの、ほのぼのとした笑み。
そして、ルイと入居者を見て、心底うれしそうにしている職員た
ちの輝く笑顔。
今でも、ルイと入居者の皆さんが幸せに過ごした10年間の日々
の様子は鮮やかに思い出すことができます。ルイと一緒に過ごし
た10年間は、たくさんの笑顔があふれていました。
ルイの体調が悪化して、何も食べられなくなってしまったのは、
2022年7月のことでした。推定14歳の時です。肝臓と心臓
が悪いうえに、元から食欲にムラがあったルイは、高齢になって
体力が弱ると、食欲がなくなってしまったのです。獣医師さんは、
そろそろ 看取みと りを考えた方がいいかもしれないと診断しま
した。
ところが、ルイは親友で同い年のチロ(ポメラニアン、雄)のお
かげで奇跡の復活を遂げます。ルイがチロのご飯を食べたそうに
していた時に、チロがご飯を分けてくれたのです。チロは、体は
小さくても気が強く、ご飯を食べている時に他の犬が近づこうも
のなら、猛然とほえて寄せ付けませんでした。
それなのに、ルイにはご飯を分けてくれたのです。これがきっか
けで、ルイは食欲を取り戻しました。それまでは、流動食をシリ
ンジ(針のついていない注射器)で食べさせていて、それも拒ん
で何も食べられなくなっていたのですが、なんと普通のドッグフ
ード(お湯でふやかして軟らかくはしてありますが)を食べるよ
うになったのです。
復活したルイは、チロとよく寄り添っているようになりました。
小さくてかわいらしい2匹が寄り添っている姿に入居者は大いに
癒やされたものです。
命のすばらしさと力強さを教えてくれた
翌2023年のお正月。チロの方が先に旅立ってしまいました。
それからもルイは頑張って生きていました。時間をかけてゆっく
りとご飯を食べていました。よろよろしながら、時として倒れた
り座り込んだりしながらも、リビング中を歩き回っていました。
高齢犬の宿病といえる白内障のため、目はほとんど見えなくなり、
耳もかなり遠くなっていた様子だったのですが、そんなことはち
っとも気にしないそぶりで、あちこち自由に歩き回り、入居者に
甘えていました。
認知症を発症し、同じところをぐるぐる回っていたり、壁に行き
当たって動けなくなったりすることが増えましたが、常に職員の
目があるユニットでは、何の問題もなく過ごせていました。
チロが旅立ってから2年間、最初に体調を崩した時からは約2年
半、ルイは精いっぱい頑張って生きてきました。
何回もご飯が食べられなくなったり、歩けなくなったりして、今
度こそ最期かと私たちは覚悟を決めたのですが、そのたびにルイ
は復活してきました。命を全うしようと頑張るルイの姿は、入居
者にも職員にも大きな力を与えてくれました。
2024年12月9日、午後2時過ぎ、ルイは穏やかに旅立ちま
した。職員がその少し前に様子を見た時は、ルイはベッドの上に
立ち上がって、ほえ声を上げていました。それからわずかな時間
で息を引き取っていたのです。
入居者の皆さんが昼食後にのんびり過ごすひと時です。ルイは、
きっと、職員が食器を洗っている音や、入居者が会話している声
など、いつもの生活の音を聞きながら、安心して旅立っていった
ことでしょう。
私たちはルイを見て、命のすばらしさと力強さを教わったのです。
・・・
※ ~
結婚をすると、自分たちだけでなく、互いの親戚の問題に振り回
されることも少なくありません。だからこそ、結婚相手には自分
の身内に何かあった時でも頼れる存在でいてほしいもの。
結婚歴1年目の坂下理世さん(仮名・32歳)は父親が体調不良にな
った時、自分のことしか考えていない夫・啓治さんの発言に激怒。
この先の未来を一緒に歩んでいけるのだろうか…と不安になりま
した。
理世さんと啓治さんはマッチングアプリで出会い、意気投合。啓
治さんは出会った当初から「こういう女性と出会えるのを、ずっ
と待っていた」と言ってくれ、理世さんを大切にしてくれました。
「夫と出会うまでの恋愛は散々でした。浮気をされていたり、お
金を貢がないとそばにいられなかったりして、とにかく苦しかっ
たです。でも、夫はどれだけ付き合いが長くなっても私を気遣っ
てくれ、大切にしてくれました」
こんな穏やかな恋愛もあるんだ…。幸せを噛みしめられるほど順
調な交際を続けていた2人は、1年後にゴールイン。晴れて、夫婦
となりました。
喧嘩もない幸せな結婚生活
結婚後も啓治さんは何かと理世さんのことを気遣ってくれ、2人
は喧嘩することなく、穏やかな日々を過ごしていました。「家事
の分担も揉めませんでした。夫は主に洗濯と食後の片付けを、私
は食事と掃除を担当していますが、私が動くの嫌だとかご飯作り
たくないとか言うと、『なら、俺がやるよ』と言ってくれます」
また、仕事が好きな理世さんの気持ちを鑑み、啓治さんは「ご飯
が作れないほど、忙しい時は言ってね。頑張らなくていいからね」
と優しい言葉をかけてくれます。「私が体調を崩すと、残業があ
っても帰宅後に必ず手料理を作ってくれるんです。インスタント
よりも、手作りのほうが体にいいだろうからって言って」自分に
とことん優しい夫の姿を目にし、理世さんは日々、この人と結婚
して本当によかったと痛感していました。
ところが、数カ月前。夫を見る目が変わる出来事が起きます。あ
る日、自宅の洗濯機が故障。そこで、馴染みの電気屋さんに頼り、
買い替えることに。「20万円ほどの洗濯機を購入しました。私た
ち夫婦は財布が別なので、折半して家電代を出し合うことにした
んです。
夫からは『大金だから、手渡しではなくて口座に振り込むね』と
言われました」そんな話し合いがなされた数日後の夕方、近隣に
住んでいる理世さんの父親が突然、胸の違和感を訴えたことから、
理世さんは救急病院へ連れていくことに。啓治さんは帰宅前だっ
たため、理世さんは事情をLINEで送り、車を走らせました。
家電代のことしか頭にない夫に幻滅
すると、30分後、啓治さんから電話が。その時、啓治さんの口か
ら出た言葉に理世さんは憤りを感じました。「父の心配もそこそ
こに、家電代をATMに振り込みにいったら機械が故障してしまっ
て、正常に振り込まれたのが分からないから、すぐに確認してほ
しいって言われて。時間帯的に確認するのは難しかったですし、
たしかに大金だけれど、それは今、言うことなのかと、イライラ
しました」
病院では緊急性はないと診断されたものの、理世さんのお父さん
は翌日、専門の科で詳しい検査を受けることに。はっきりとした
原因が分からなかったため、理世さん親子は不安な気持ちのまま、
帰宅しました。
帰宅後、理世さんは「お父さん、どうだった?」と尋ねてきた啓
治さんに事情を説明。翌日も病院に付き添うことや不安な気持ち
であることも伝えました。
しかし、啓治さんはその話を早々と切り上げ、「お金がちゃんと
振り込まれているか、明日確認してほしい」と家電代の話にシフ
トチェンジ。さらに、いかにATMの故障が怖かったかを説明し始め
、「振り込むのがもっと遅くても良かったのなら言ってくれよ。
そしたら、週末一緒に確認しながら安全に振り込めたのに……」
と理世さんを責めました。
「早く振り込んでほしいなんて私は一言も言ってないのに、なん
でこっちのせいみたいに言われないといけないんだろうってムカ
つきました。私の頭は父のことでいっぱいなのに、心配もそこそ
こに家電代のことばかり言われて。人の命よりもお金が大事なの
かと苛立ちました」
思えば、過去にも妻である自分以外の人には辛辣な一面が夫には
ありました……。今回の一件で共に過ごしてきた日々を改めて振
り返った理世さんは、そんな事実に気づき、啓治さんを見る目が
変わってしまいました。
「私に優しくしてくれるのは、すごくありがたい。けれど、身内
も大切にしてくれる人でなければ、この先、一緒に生きていくの
は難しいと思いました。
夫にとって私の親は、たしかに赤の他人です。でも、お米をくれ
たり、何かと私たちを気にかけてくれたりするので、夫も感謝す
べきことがたくさんある存在だと思うんです」
義理の両親を自分の親と同じくらい気にかけるのは、なかなか難
しいこと。けれど、パートナーの不安に寄り添い、サポートして
いくことはできるはず。愛する人が大切に思う存在を、共に大事
にしていけたらいいですね。 …




